研究室通信

放送大学・白鳥潤一郎研究室(国際政治学/日本政治外交史)のブログです。

「データべース日本外交史」を公開しました

 気が付けば、大学教員にとって勝負の夏季休暇期間も終わりが近付いてきました。色々と予定や状況が変わったこともあり、外交史料館関係の記事は中途半端なところで途切れていますし、仕事のアナウンスで忘れているものもあるのですが、今日は共同で運営しているサイトについてです。

 

 

 9月1日付で「データベース日本外交史」を公開しました。「データべース戦後日本外交史」を引き継ぎつつリニューアルしたもので、スマホタブレットにも対応しています。運営メンバーは、旧サイトと同じく高橋和宏(防衛大学校)、井上正也(成蹊大学)の両先生と私です。

 
 旧サイトの教訓も活かして今回は手軽に更新ができるようにGoogleサイトを利用しました。最低でも月1回は更新をしていきたいと考えています。コンテンツの充実に向けて、運営メンバー一同取り組む所存です。
 
 紹介としてTOPページに掲げた文章を転載、その後に簡単な説明を付しておきます。
 
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 戦後日本外交研究は、近年多くの外交文書が公開されたこともあり急速に発展してきました。 しかし、研究の発展と共に専門分野の細分化が進み、日本外交の全体を俯瞰することはますます難しくなっています。ひるがえって、国際秩序が流動化するなかで外交の果たす役割は問い直され、基地問題日中関係なども新たな観点から注目を集めています。これらの問題の起源を知るためにも、戦後日本外交を「歴史」として検証することが不可欠です。
 
 本ウェブサイトは、日本外交に関する各種データを公開することで、研究者やジャーナリストの情報共有を促進することを目指しています。 具体的には第一に、情報公開法に基づく開示請求などで研究者が収集した外務省文書をウェブ上に掲載します。 第二に、『官報』に基づいて作成された戦後外務省人事一覧を公開します。この一覧は1989年までの戦後外務省の全課長級人事を網羅する予定です。 第三に、外務省から外交史料館から移管された文書の一覧(移管文書ファイル)を掲載し、各研究者が効率的に外交史料館所蔵文書を利用できるようにします。第四に、外交記録や情報公開、研究動向などをコラムで紹介します。
 
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 外務省文書についてはまだ数があまり揃っていませんが、会談録や大使会議等のまとまりが良いものから随時アップロードしていく予定です。情報公開請求で取得したものを中心に、最終的には井上正也『日中国交正常化の政治史』(名古屋大学出版会)や拙著『「経済大国」日本の外交』(千倉書房)で使った文書の大半を公開したいと考えています。
 
 戦後外務省人事一覧はまだ工事中ですが、課長級まで網羅したリストはなかなか無いので早期に完成させたいところです。現時点では昭和期までですが、いずれは時期をもう少し伸ばしたいと考えています。
 
 外交史料館への移管ファイルのリストは2017年7月末アナウンス分も反映した最新版です。旧サイトではPDF形式でしたが、今回はGoogleスプレッドシートを使っているのでExcel形式でダウンロードすることも可能になっています。年に2~3回更新といったペースになるでしょうか。公開審査済ファイルのリストは最新版が完成次第アップロードします。
 
 最後のコラムは、今回の新サイト公開に併せて3本を追加しました。井上さんの「公文書管理と個人情報:外交文書の事例を中心に」は『日本歴史学協会年報』第32号(2017年6月)より、私の「民主主義の根本に戻れ:外交記録公開制度40年に寄せて」は『毎日新聞』2016年7月25日夕刊からそれぞれの転載です。高橋さんの「日米「核密約」の成立はいつか?:ジョンソン大統領図書館公開文書からの一考察」は書き下ろしの力作。広く読まれて欲しい一文です。
 
 改善提案等があればお気軽にご連絡ください。

 

日中国交正常化の政治史

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